Hello World By Idenarix

東京で働くリサーチャーのブログ

Mixed Method(混合研究法)は大きなパラダイムシフトになりうるか

MR会社は多くの場合、「定量」と「定性」に分かれています。

 

ほとんどの会社で組織が別になっているのではないでしょうか。もちろん、数人などの小さな会社さんはそんなこともないかもしれませんし、そもそも定性専門の会社もけっこうありますよね。まあ、基本的に、組織が異なるケースが多いわけです。

そして、組織が異なるということは人も別になっているということですよね。

定期的に人事異動がある大きめ(?)の企業ならまだしも、中小のMR会社では定量畑の人はずーっと定量、定性畑の人はずーっと定性、ってん感じです。

 

これはこれで、専門性が磨かれるという意味ではすばらしいですし、スーパー定量リサーチャー、スーパー定性リサーチャーが生まれることもあるんだと思います。

ただ、MRはクライアントのビジネス課題、マーケティング課題解決のサポートのために存在する訳で、そのために、より深い、より質の高いインサイトを生み出すことが求められるわけです。むしろ、それが存在価値と言ってもいい。

ここの部分を別の言い方をすると、定量的な方法を使うとか、定性的な方法を使うとかは目的ではない訳です。手段ですよね。

でも、われわれMRは、「この課題は定性だな」とか「この課題は定量だな」と考えます。そして、これは、100%定性でカバーできる、とか、100%定量で対応できるという意味ではなく、「定性でやったほうがカバーできる範囲が多いな」「定量でやればおおむねOKだな」とう意味です。

 

手段によって目的をやや矮小化してませんかね。本末転倒な気がしませんか。

もちろん、すごく大きなPJとかになると、定性フェーズと定量フェーズに分けて~とか考えますが、余程のことがないかぎり、そんなにお金も時間も使える案件なんてありません。

 

この定量、定性の議論は、アカデミックの世界でも昔から存在するようなのですが、素人の私がいろいろ読んだ範囲では、90年代にこの手の議論は収束したようです。理由としては、「定性VS定量の議論が、あまり生産的な結果をうまな方から」とのこと。

この視点、すごき刺激的ですよね。定性とか定量とかという考え方(それぞれの分析アプローチとしての考え方は必要です。2項対立としての考え方)は、何も生まないということですよね。

そして、アカデミックでは、混合研究法(MM)という考え方が出てきたようです。そして、このMMの重要な点は「実用主義」であるということだそうな。

 

ビジネスとマーケティングの世界のプレーヤーである、MR会社がいまだ定量と定性の2項対立の中で物事を見ているときに、そのような視点は生産的ではない、実用主義として定量と定性を混ぜて考えるアプローチがアカデミックの世界から出てきているというのに、MR会社も目を向けるべきではないかと思います。

もちろん、MR会社が普段相手にしているクライアント側の担当者も、定量と定性でものごとを見ている傾向が強いので、今日明日ですぐにどうのということではないですか。よりよいインサイトを生み出すという意味で、いろいろ考えてもいいのではないかなと思うわけです。