Hello World By Idenarix

東京で働くリサーチャーのブログ

incrementalでagileなリサーチ



モバイル端末の普及がどんどんすすむ先進国では、リサーチのパネルに関してもモバイルファーストの必要性は避けては通れず、今後さらにモバイル端末を中心にしたリサーチを考えて行かなくてはならないことは明白ですね。

一方で、アンケートに答える側の都合を、あまり、考えずにどんどん肥大化している現在のリサーチのお作法では、モバイル端末での回答はかなり無理があります。

そーすると設問数を減らすしか方法はないんですが、設問数を減らすことは、関心の領域を取捨選択することを意味するので、なかなか難しいです。

そこで必要なのがincremental でアジャイルな調査設計ではないかと思うんです。
今までのリサーチはソフトウェア開発で言うところのウォーターフォール型で、最初に設計した内容にそって、その後のすべてのプロセスが決まってました。
でも、肥大化したアンケートを長々と繰り返せないモバイルファーストの世の中では、関心内容を段階的に分解し、ステップバイステップで、少しずつサーベイを繰り返していくしかありません。

そうする事で、想定しない仮説にフレキシブルに対応する調査設計が可能になります。
一方で、データは連続しないし、リサーチ会社の伝統芸である、統計的サンプリングは使えなくなります。

理論的サンプリングによる段階的でフレキシブルな理論構築という、大きなパラダイムを変えていかないと、回答精度の低いデータを、今までと同じような文脈で解釈することになり、これは、オフラインサーベイからオンラインサーベイに移行した時に、サーベイの代表性の考え方を変えなくてはいけなかったにも関わらず、シレッと移行してしまった歴史を繰り返すことになるのではないかと思ってみたり。